こんにちは。
今回、本の書評をやっていきたいと思います。
本のタイトルは
「影響力の武器ーなぜ、人は動かされるのか」
影響力の武器は、どうやったら思い通りに人を動かせるのか?人の心を操れるのか?について書かれた本。
また、この本が最も伝えたいメッセージは次の通りだと私は考えてます。
「人は心のスイッチを押されると、無意識で自動的に行動してしまう。知識がなければ絶対に抗えない。だから、知識をつけて気をつけようね」
特に詐欺師は本書に書かれている原則をフル活用しています。
この書評記事で「影響力の武器」の要約と、実践で活用するための具体的なアクションプランを考えてみました。
きっと日々の生活にもお役に立てると思うので、ぜひ最後まで読んで頂けると嬉しいです。
本記事の内容(もくじ)
それでは見ていきましょう。
「ふとした隙につけこまれ、あれよあれよという間に欲しくもないものを買わされてしまった」
「ひっかかるはずのない怪しい〈儲け話〉に乗せられてしまった」
「人気商品なのに品薄なことが多い」・・・・・・本書の著者は、街頭や個別の訪問販売、怪しげな宗教の寄付などで苦い思いを味わった経験から、セールスマンや広告主の世界に入り込み、人がどのような心理的メカニズムで動かされるのか解明した。
社会で騙されたり丸め込まれたりしないために、私たちはどう身を守れば良いのか? ずるい相手が仕掛けてくる“弱味を突く戦略"の神髄をユーモラスに描いた、世界でロングセラーを続ける社会心理学の名著。
待望の第三版は新訳でより一層読みやすくなった。楽しく読めるマンガを追加し、参考事例も大幅に増量。ネット時代の密かな広告戦略や学校無差別テロの原因など、社会を動かす力の秘密も体系的に理解できる。出典:Amazon「影響力の武器」説明文より
影響力の武器とは【要約】
著者はアメリカの社会心理学者「ロバート・B・チャルディーニ」。
以下のシンプルな一文を、生涯覚えておいてください。
「影響力の武器」をたった一言で表すならこの言葉。
少し長いですが、本書から引用して「カチッ・サー」とはどういうことかを説明します。
毛長イタチは七面鳥の天敵で、母鳥はイタチが近づくと激怒して鋭い鳴き声を上げ、くちばしでつつき、爪でひっかきます。実際、この実験では、イタチが剝製であったにもかかわらず、紐を使って剝製を母鳥の方に近づけていくと、すぐに強烈な攻撃を受けました。ところが、剝製のなかに小さなテープレコーダーを埋め込んでおき、そこからヒナ鳥のピーピーという鳴き声を流すと、親鳥は剝製のイタチが近づくのを許すばかりでなく、それを自分の翼の下に抱き込んでしまったのです。そしてテープを止めると、またイタチに対する激しい攻撃が始まったのです。
このように、七面鳥の親鳥はピーピーという鳴き声だけで「カチッ」と再生ボタンが押され、「サー」とテープが回って、天敵のイタチを抱きしめてしまいました。
この実験こそ、冒頭で紹介した「スイッチを押されると自動的に行動してしまう」をあらわしている例です。
この「カチッ・サー」は動物だけでなく、人間の行動の原則にもあてはまるのです。
具体的に、以下6つの影響力の武器が紹介されています。
①返報性(お返しをせずにはいられない)
②コミットメントと一貫性(一度決めると変えられない)
③社会的証明(みんながやっていることは正しい行動)
④好意(好意を感じている人に対してイエスと言う)
⑤権威(権威者に対して服従してしまう)
⑥希少性(機会が失われるもの、数が少ないものには価値があると思い込む)
上記6つが代表的な影響力の武器。
ひとつずつ解説していきます。
6つの影響力の武器
①返報性
本書では一番最初に紹介される影響力の武器。
返報性とは、「与えてもらったら、必ず何かを返さないと不快になる心理」のこと。
この返報性のルールは最も広範囲に存在し、人間社会の最も基本的な要素となっています。
具体例
この返報性はとても強力なものです。
マーケティングでは特に、あらゆるところに使われてます。
②コミットメントと一貫性
コミットメントと一貫性とは「一度決めたら一貫したい、または一貫していると見られたい心理」のこと。
一貫性を保つメリット
一貫性のカギとなるのは、「コミットメント」にあります。
つまり、立場を明確にしたり、自分の意見を言ったりすることです。
一度コミットメントしてしまうと、一貫性のスイッチが入り、もし間違いだとしても自分の決定は間違っていないと固辞してしまう。
これがコミットメントと一貫性です。
③社会的証明
社会的証明とは「特定の状況において、ある行動をする人が多いほど、人はその行動が正しいと判断する」ことです。
具体例
自分の頭で考えて判断することはとてもエネルギーが必要ですが、社会的証明に流されないようにしたいですね。
④好意
好意とは「人は自分が好意を感じている知人にはイエスと言う傾向がある」ことです。
他の影響力より少し長めに説明します。
章の冒頭にこんな引用があります。
法廷弁護士の最も大切な仕事は、依頼人が陪審員から好かれるようにすることである。
ークラレンス・ダロウ
好意の影響力の強さを端的に表している、とても本質的な一文だと思います。
好意を持つようになる要因
他にも面白い事例紹介として、「悪いできごとや良いできごとと関連があるだけでも、その人自身の評価に影響する」ということです。
つまり、以下のような式で表せます。
・悪い知らせを持ってくる人=悪い人
もっと具体的な事例を出します。
古代ペルシャでは、軍事の勝敗を報告する役割を担う人がいました。
この人の扱い
・敗北の知らせをもってくれば、即座に殺される
この人は報告だけが仕事です。
したがって、この人の働きが軍の勝敗に影響を与えていないことは明白ですが、酸いも甘いもこういった扱いを受けていたようです。
これと似たようなことは現代社会でもありますよね。
悪い報告をした人が一番損をするというか。
⑤権威
権威とは「権威者の命令には自分の判断を入れずに服従してしまう」ことです。
有名なのは、「ミルグラム実験」ですね。本書でも紹介されています。
また権威の面白いところが、権威者そのものの実体にではなく、権威のシンボルにさえ反応してしまう傾向があることです。
効果のあるシンボル
これらがあげられます。
「ちゃんとした制服を着ているから信用できる人だ」
「高価な時計を身に付けていたり、高級車に乗ったりしているからきっと凄い人だ」
このようなこと、ありますよね。
⑥希少性
最後です。
希少性とは「少ないもの、機会を失いかけているものに価値があると判断する」ことです。
「数量限定」
「タイムセール」
残り1個だったらから、とりあえず急いで買ってしまった。
限定で安くなってたから、買ってしまった。
どちらも後から冷静に振り返ると不要だったみたいなことって、割とよくあったりしませんか?
この希少性は結構強烈なので、個人的には抗うのが難しいなと思っています。
活用するためのアクションプラン
影響力の武器6つを簡単に紹介しました。
もう一度復習しておきます。
①返報性(お返しをせずにはいられない)
②コミットメントと一貫性(一度決めると変えられない)
③社会的証明(みんながやっていることは正しい行動)
④好意(好意を感じている人に対してイエスと言う)
⑤権威(権威者に対して服従してしまう)
⑥希少性(機会が失われるもの、数が少ないものには価値があると思い込む)
これらの影響力の武器を日頃どうやって活用すればよいのでしょうか?
明日から実践できる具体的なアクションプランを1~2個ずつ考えてみました。
①返報性
私の好きな漫画「スティール・ボール・ラン」より

出典:荒木飛呂彦『スティール・ボール・ラン 12巻』
この他にも、「GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代 」という本で紹介されているのですが、与える人(GIVER)が最終的に成功すると言われている点と似ていますね。
②コミットメントと一貫性
自分を鼓舞したいとき、または相手によく働いてもらいたいときなどに有効です。
③社会的証明(みんながやっていることは正しい行動)
これは難しいですね。
常にあたまの片隅にでもおいておかないと、すぐにボタンを押されてしまいそうです。
余談です。社会的証明について思うことがひとつ。
2011年の震災時の、ある学校での話のニュースです。
真偽確認はしていませんが、考えさせられる点があったので紹介します。
地震が発生して、先生の指示に従って校庭に待機していた大勢の児童は全員津波の被害にあってしまった。
しかし、日頃から親に「地震があったら津波がくるから絶対に山に登れ」と言われていた生徒は、先生の指示を無視して自分の判断で裏山に登っていたおかげで助かった。
という話をニュースで見たことがあります。
助かった生徒は③社会的証明(みんなの行動)にも、⑤権威(先生の指示)にも影響されなかった人たちです。
しかも子供ですよ。
自分がその場にいたら、私は助からなかった方だと思う。
自分で判断することの大事さを改めて感じたニュースでした。
④好意(好意を感じている人に対してイエスと言う)
なるべく好意を持たれるように行動し、自分は必要以上に好意を持たないようにするのが自分をコントロールする上で重要です。
⑤権威(権威者に対して服従してしまう)
他人に影響力を与えるためには、自分の権威性を育てることが大事になってきます。
また他人から不用意にスイッチを押されない為に、相手のバックグラウンドでなくて相手の実体を見るように心がけましょう。
⑥希少性(機会が失われるもの、数が少ないものには価値がある)
私もよくAmazonのタイムセールやプライムセールに飛び乗って、買ったけど開封していないものがあったりします。
まとめ
まとめです。もういちどおさらいしておきます。
①返報性(お返しをせずにはいられない)
→普段から与える
②コミットメントと一貫性(一度決めると変えられない)
→動いて欲しい人(自身or他人)にコミットさせる。
③社会的証明(みんながやっていることは正しい行動)
→自分のアタマで考える。周りは考えて行動していないと知っておく。
④好意(好意を感じている人に対してイエスと言う)
→身だしなみを綺麗に。相手に対して好意があると判断が鈍ると知る。
⑤権威(権威者に対して服従してしまう)
→実績を積む。相手が本物か確かめる。
⑥希少性(機会が失われるもの、数が少ないものには価値があると思い込む)
→タイムセールなどに不用意に近づかない。
本の中では、他にもたくさんの面白い具体例が紹介されています。
読み物としても面白いですよ。
「影響力の武器」は知識として知っているだけでも自己防衛にとても役立ちます。
実践で活用していくためには、毎日1つだけでもアクションプランを実行してみてくれると嬉しいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
今日もよい1日を!
最後にその他にもおすすめの本があるので、よかったらチェックしてみてください。
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「影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか」が好きな人におすすめの本。