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【キッズガード】保育園・幼稚園で案内される保険「キッズガード」から考えた日常の行動経済学【加入は不要】

2021年4月6日

キッズガードは加入の必要ありません。

案内のパンフは今すぐゴミ箱行きでOK。脳力のムダ使いです。

 

・・・

 

今回は日常のできごとからわたしの好きな行動経済学に絡めて考えてみたブログ。
(後述しますが、行動経済学とは心理学×経済学のこと)

 

先日、娘が通っている保育園から保険のパンフレットが配られました。

「キッズガード(園児総合保障制度)」という全国私立保育連盟推薦の保険です。

 

パンフレットと一緒に、園長からの案内書も同封されていました。
その内容が「これって行動経済学かな?」と感じるところがあり、加えて言いたいことがあったのでブログにして残しておきたいと思います。

 

行動経済学について少し知っておくと、他人から操られたり、間違った意思決定をさせられたりすることを減らせると思います。

 

記事の内容(もくじ)

 

キッズガードに加入する必要性はある?→結論、加入の必要無し

保険

そもそもこの保険「キッズガード」に入ったほうがいいのか?
という悩みに対しては、

加入する必要無し

という結論になります。

 

理由は2つ

①公的保険が充実している(こども医療費助成制度)
②個人賠償は重複しているケースが多い

理由は2つあげていますが加入する経済合理性がまったくありません。
世の中ムダな保険が多すぎ。大手保険会社の立派なビルを見ればどれだけ儲けているか・・・。

今回は保険について深掘りする記事ではないのでこれ以上の説明は割愛します。

保険については書籍本当の自由を手に入れる お金の大学で学ぶのがおすすめ!社会に出る前の必読書。

 

行動経済学とは

行動経済学研究の第一人者「ダン・アリエリー教授」の著書

続いて行動経済学について語っていきたいと思います。

こちらが今回の主題。

 

行動経済学とは

「心理学×経済学」

のこと。

人は合理的な判断ばかりをしているわけでなく、不合理な判断を行うことがしばしばあります。

 

・セールの為にわざわざ遠いスーパーまでいく

・現金は盗まないが鉛筆なら平気で失敬する

・頼まれごとなら頑張るが、安い報酬ならやる気が失せる

 

このような人の不合理な行動って面白いと思いません?

遠いスーパーに行く方がコスト高だし、鉛筆を盗むのも現金を盗むのも本質は同じだし、少しの報酬でももらった方が合理性があります。

 

他にも価格設定を3段階にしたり、選んで欲しい方をデフォルト設定にしておいたりなど、様々なテクニックによって私たちの意思決定は無意識に操られています

 

行動経済学についてもし興味があればここらへんの書籍をどうぞ。
世界の見え方が変わってめちゃくちゃ面白い。

なぜ子供時代から読書習慣が無かったのか悔やまれる・・・

 

・予想どおりに不合理: 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」

・不合理だからうまくいく: 行動経済学で「人を動かす」

・ずる――噓とごまかしの行動経済学

 

 

保険の案内書のどこに疑問を持ったか

 

保険の案内書に、行動経済学が使われていると思った点について説明していきます。

以下、案内書を一部掲載します。

さて、本日お渡し致しました「キッズガード(園児総合保障制度)」は、
①お子様のおケガの補償
②個人賠償責任保障
③24時間補償
など、大切なお子様やご家族にとって必要な補償を備えた制度となっています。
あくまでも任意加入ではありますが、全国私立保育連盟の推薦で安価な掛金(割引率約65%)となっており、”保険金請求も簡単です。”是非ご加入をおすすめ致します。

●パンフレットをご覧いただき園までお申し込みください。

●お申し込みを希望されない方、すでにご加入済の方は、
下記にご署名の上申込み締切り日迄に園にご提出ください。

 

様々なセールス文句の最後に、園長行の返信がついています。

 

この案内書にどう思いますか?

 

特に何も感じないですかね?
もしよかったら少し考えてみて欲しい。

 

 

保険のパンフレット案内だけなら、意思表示は不要なはず

 

保育園が保険のパンフレットを配り

「加入は任意ですよ」

と断りの上でおすすめするのは問題ないと思います。

 

だがしかし!

保険に加入したくない人がわざわざ

意思表示+こどもの名前の署名+親の名前の署名

これらをした返信を保育園に提出させる理由はないはずです。

あったら怖いですよね?保険の案内は保育園の行事ではないですから。

 

なぜこんな面倒なことをさせるのか?と疑問に思いません?

 

その面倒なことをあえてさせている点が、行動経済学を上手く使っているなとわたしが感じた点です。

 

ただのパンフレットなら、興味ない人は開封すらしない

 

もしこれが返信不要なら、興味ない人はパンフレットを開封もせずにゴミ箱行きになることが多いと思います。

 

しかし今回の場合

保険に入りたくない人も

「加入しません」と明確に意思表示をしないといけない

ので、少しは中身を確認しておかないとマズいかな?と思わせることができます。

 

こうやって、興味がない人に対しても中身を確認する必要性を作ることによって、パンフレットの開封率を高めようとしていると考えられます。

パンフレットや案内書はまず開封してもらうのが第1の壁。

開封してもらえさえずれば不安を煽ったりお得感を煽ったりしてセールスできます。

 

人な楽な方を選択する傾向が強い。選択肢はどちらも同じくらいの道のりにしておく

 

もうひとつのポイントは、新規加入する人は返信が不要なことです。

保険に加入する場合、住所や氏名など色々と記入しないといけないのでとてもめんどくさい。
書くのがめんどうだからという理由から、加入しない人も中にはいるはず。

なんならパンフレットを開けるのさえ面倒ですからね。

 

しかし今回は、

・加入しない人は返信用の書類を書く
・新規加入者は申込書を書く。返信は不要

このように、申込み書を出す場合も出さない場合も、手間は同じくらいになるように設計されています。

こうやって作業量を少しでも同じレベルにすることで、パンフレットはそのままゴミ箱へという楽な道を塞がれているのが分かります。

 

ここまでのまとめ

 

ここまでをまとめると

・パンフレットの開封率をあげる為に、加入するつもりがない人にも内容確認をさせる
・加入者は返信不要なので、加入者と非加入者の手間が同じくらいになる

この2つのポイントが行動経済学を上手く使っているなと思いました。

 

他にも割引率を強調したり、連盟が推薦してますよ!の文言あたりも行動経済学をフル活用しているなと感じました。

この辺りも詳しく知りたければ紹介した本をどうぞ。

・予想どおりに不合理: 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」

・不合理だからうまくいく: 行動経済学で「人を動かす」

・ずる――噓とごまかしの行動経済学

 

まとめ

保育園から貰った保険のパンフレットをきっかけに行動経済学に話を展開してみました。

行動経済学は生活のあらゆるところにさりげなく取り入れられており

わたしたちの意思決定を操作しています。

 

今回の例だと、通常のわたしであれば保険の案内は開封せずゴミ箱行きへの判断をするはずですが、私も操作されてしまいパンフレットの中身を確認してしまいました

最終的にはゴミ箱行きにしましたが少しだけ加入を悩んでしまいました。

つまり少しだけ脳力を削られました。ちなみに脳力を消費させるのも、意思決定を操る上でポイントとなります。
(脳が疲れているとラクな意思決定をするから)

 

行動経済学を学ぶと純粋に楽しいですし上手く活用できるようになると操作する側に回ることもできます。

 

今回の件について主張

  • キッズガードは加入の必要性無し
  • パンフレット配布は良いが意思確認は不適切だと思う
  • どうしても意思確認するなら新規加入者にも求めるべき
  • 保育園という公的な場所にも行動経済学が活用されている
  • 行動経済学は面白いのでぜひ興味をもってもらえたら学んでみて
  • 意思決定はちゃんと調べて自分の頭で考えよう

キッズガードの件は保育園側がキックバックもらってると疑ってしまうのはわたしだけでしょうか・・・。

 

心理学や行動経済学についてはまた別の記事でより具体的に紹介したいなと思います。

 



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